工場見学が持つ意味
工場見学は、企業が新たな顧客接点をつくるための重要な手法の一つです。工場見学に訪れることで、見学者は製造プロセスを直接目にすることができ、生産者の顔を知ることができます。これにより、企業へのロイヤリティが高まる効果があります。さらに、工場見学の受け入れによって、工場内のプレゼンテーション能力の向上や5Sの進展、見学者からのフィードバックによる工場改善ポイントの獲得などの副次的な効果も期待できます。
事例
燕三条「工場の祭典」
新潟県燕市と三条市で行われる「燕三条 工場の祭典」は、日本有数の金属加工の産業集積地で毎年開催されるイベントです。2017年の開催で第5回を迎えたこのイベントでは、3日間に渡って100を超える工場が協力し、5万人もの見学者を受け入れます。金属加工の工場は下請け業務が多いため、ブランド力やマーケティング力に欠けることが多いですが、このイベントを通じて全国から訪れる見学者との接点を持つことで、技術訴求や販路拡大、知名度向上など多くのメリットを享受しています。
台東区南部「モノマチ」
東京都台東区南部で行われる「モノマチ」は、皮革製品や神・仏具、財布・バッグ、玩具など多様な産業が集積する地域で開催されるイベントです。2018年5月の開催で第10回を迎えたこのイベントでは、170の工場や商店が3日間に渡ってモノづくりを訴求し、推定10数万人の見学者が訪れます。参加者はまち歩きをしながら工場や商店を訪れ、台東区南部のモノづくりを楽しみながら学ぶことができます。「モノマチ」は地域内の産業間の横のつながりを強化し、若手デザイナーやクリエイターの流入を促進するなど、地域全体の活性化に貢献しています。
まとめ
工場見学は、単なる観光の一環としてだけでなく、企業にとっては顧客との重要な接点であり、地域全体の活性化にもつながる重要な活動です。燕三条や台東区南部の事例からも分かるように、工場見学を通じて企業は技術訴求や販路拡大、知名度向上を図りながら、地域の魅力を発信し、まちづくりにも貢献しています。工場見学の受け入れには準備が必要ですが、その効果は非常に大きいと言えます。